育休手当の受給対象期間は、子供が1歳になる前までとなっていますが、保育園に入園できない等の理由で、育休手当の受給期間を延長することができます。
今回の記事では、育休手当(育児休業給付金)の延長について詳しく解説していきます。
また、平成29年10月からの法改正により、2歳前まで延長となった育休手当についてもお伝えしていきたいと思います。
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育休手当の支給期間が2歳前まで延長されます
保育園に入園できない等の理由により、子供が1歳以後の期間に育児休業をする場合は、1歳6か月に達する日前までの期間、育休手当(育児休業給付金)の支給対象期間が延長できます。
さらに、平成29年10月より、1歳6か月以後も保育園に入園できない等の場合には、会社に申し出ることによって、育児休業期間を2歳前までの期間に再延長できます。
また、育児休業給付金の支給対象期間も、2歳に達する日前(2歳の誕生日の前々日)までの期間に延長できるようになりました。
これまでは、0歳の4月に保育園に入園できなかった場合、育児休業の延長が終了する1歳6か月で保育園に入園できる可能性はほとんどありませんでした。
しかし今回の法改正で、育児休業が子供の2歳になる期間までに再延長できるようになったことにより、比較的保育園に入園しやすい4月まで育児休業を取り、給付金がもらえるようになったんです。
平成29年10月1日からの育児休業給付金の支給期間の延長の改正内容はこちら
育休手当の支給対象期間の延長ってどんな時に適応されるの?
育休手当(育児休業給付金)は、基本的に1歳未満の子供を養育するために育児休業を取得した場合、一定の要件を満たすことによって支給を受けることができます。
しかし、下記のいずれかの理由で、子供が1歳以後の期間に育児休業を取得する場合、育児休業給付金の支給対象期間が1歳6か月に達する日の前々日までの期間に延長されます。
さらに、子供が1歳6か月以後の期間に育児休業を取得する場合も、育児休業給付金の支給対象期間が2歳に達する日の前々日までの期間に再延長されます。
では、育児休業給付金の支給期間の延長はどんな条件が対象となるのでしょう。
1、保育園の入園を希望し、申し込みをしているにもかかわらず入園できない。
- あらかじめ1歳に達する日の翌日(誕生日)、または1歳6か月に達する翌日について、保育園に入園できるように申し込みをしている場合に限る。
- 無認可保育施設は含まれません。
2、子供の養育を行う配偶者等が、以下のいずれかに該当した場合。
- 配偶者が死亡した時
- 配偶者が病気や怪我、精神上の障害により、育児が困難な状態になった時
- 婚姻解消等により、配偶者と子供とが同居しないことになった時
- 6週間(多胎妊娠は14週間)以内に出産予定、または、産後8週間を経過しない時
上記のいずれかの理由に該当する場合は、育児休業と育児休業給付金の延長ができますので、検討されてみてはどうでしょうか。
また、保育園の申し込み時期等は、市町村によって違うので、事前に確認しておくことをお勧めします。
育休手当(育児休業給付金)の延長の手続き
では、育児休業給付金の延長の手続きはどのように進めていったらよいのでしょうか。
まず、事業主に育児休業の延長の申し出を、育休の延長の開始予定日(1歳の誕生日)の2週間前までにします。
その際に、育児休業給付金の延長のこともお願いしておきましょう。
育児休業に伴う、育児休業給付金に関しての手続きは、一般的に事業主が行いますので、会社に育児休業の延長の申請をする際は余裕を持って申し出ましょう。
会社の指示に従って、書類に必要事項を記載し、延長事由に該当することを確認できる下記の書類を添付して、会社に提出します。
- 待機児童:入所申込書、入所保留通知書(入所不承諾通知書)、育児休業延長申出書、その他ハローワークから提出を求められた書類
- 配偶者の死亡:世帯全員について記載された住民票の写し、母子手帳
- 病気、怪我などによる育児困難:医師の診断書等
- 離婚等による別居:世帯全員について記載された住民票の写し、母子手帳
- 6週間以内に出産予定、産後8週間を経過しない:母子手帳
ただし、子供が2歳に達する日前まで支給対象期間を延長するには、1歳6か月に達する日の翌日において、保育園に入園できない等の理由に該当することが必要になるため、改めて確認書類の提出が必要になります。
申請の手続きの時期については、下記の通りとなります。
1、1歳以後の支給対象期間の延長について
5回目の育児休業給付金の支給申請書を提出する時か、次の6回目の最終支給対象期間の支給申請書を提出する時に、事業主が行います。
2、1歳6か月以後の支給対象期間の延長について
8回目の育児休業給付金の支給申請書を提出する時か、次の9回目の最終支給対象期間の支給申請書を提出する時に、事業主が行います。
いずれにせよ、会社がハローワークに延長の申請書を提出する前の、誕生日前、または1歳6か月になる前には、間に合うよう早めに提出書類を揃えておきましょう。
このように、育休手当(育児休業給付金)の手続きは、ほとんどの場合、本人に代わって事業主が行います。
しかし、制度自体とても複雑ですし、しょっちゅう行う手続きでもないので、会社の担当者も延長の制度を把握しきれていないことも多いかと思います。
せっかく手当がもらえる制度なのに、何かの手違いで手当がもらえなかったり、延長ができなかったり、会社とトラブルになったりということは、極力避けたいですよね。
そのためには、人任せにせず、疑問に思うことがあったら、自分で下調べをしたり、ハローワークに問い合わせをしたりして、自分でもきちんと把握し、会社に確認をとるようにしましょう。
「パパママ育休プラス制度」を利用する場合の延長について
前述しました育児休業や育児休業給付金の通常の延長とはまた別に、「パパママ育休プラス制度」という制度があります。
「パパママ育休プラス制度」とは、男性の育児休業の取得を促進するため、パパ、ママともに育児休業をした場合の育児休業等の特例を設けたものです。
それは、「パパママ育休プラス制度」を利用することで、パパママともに育児休業を取得し、一定の要件を満たした場合、育児休業期間が子供の1歳2か月に達する日までに延長可能になるという制度なのです。
制度が少し複雑ですが、親に頼れない場合などに利用することで、ママの負担が軽減できるというメリットがあります。
と言っても、少々わかりづらいかもしれませんね。
「パパママ育休プラス制度」を利用した育児休業の要件や具体例を載せたサイトを設けましたので参考になさって下さい。
⇒ パパママ育休プラス制度を簡単に解説!概要、メリット、デメリットとは
⇒ パパママ育休プラス制度を7つの具体例でよりわかりやすく解説!
もちろん、パパとママが二人で育児休業を取ったとしても、要件を満たせば両方の分の育児休業給付金が支給されます。
「パパママ育休プラス制度」の育児休業給付金についての詳しい内容はこちら
⇒ パパママ育休プラス制度を利用した場合の気になるパパとママの給付金について
また、「パパママ育休プラス制度」を利用した場合でも、前章の支給対象期間の延長の条件に該当した場合に、1歳6か月に達する日前まで、または2歳に達する日前までの期間について、育児休業給付金の支給対象期間は延長されます。
ただし、前章の延長の条件に加えて、本人または配偶者が子供の1歳に達する日後、または1歳6か月に達する日後の育児休業終了予定日において育児休業をしていること。
また、1歳6か月までの育児休業開始日は子供の1歳に達する日後、または2歳までの育児休業開始日は子供の1歳6か月に達する日後である、本人または配偶者の育児休業終了予定日の翌日としなければなりません。
「パパママ育休プラス制度」の延長についての詳しい内容はこちら
⇒ パパママ育休プラス制度と1歳6か月までの育児休業の延長との関係は?
これまで、1歳6か月までの育児休業の延長の時点で保育園が決まらなかった場合、仕事をあきらめなければならないママがたくさんいらしたのではないでしょうか。
しかし、さらに2歳までに再延長できることによって、比較的保育園に入りやすくなったことは、働くママたちにとってはありがたいですよね。
また、育児休業給付金の支給期間が延長されることも経済的に安心です。
そして、企業側にも、法改正によってこのように制度が変わったことを広く知ってもらった上で、2歳までの育児休業に対処できる体制づくりをしていってもらいたいと思います。
また、共働き夫婦が増えてきている中で、「パパママ育休プラス制度」を多くの企業や働いている方たちに知ってもらい上手に活用することで、少しでもママの負担を軽くしてあげてほしいと思います。
そうすることで、虐待や育児ノイローゼがなくなっていくことに繋がっていくのではないでしょうか。