法改正により、29年10月1日から、保育園に入れない等の場合、2歳まで育休を再延長することができるようになりました。
職場復帰しやすい環境へと変わってきているようにも思いますが、実際にはいろいろな問題を抱えて退職してしまうママも多いというのが実情のようです。
今回の記事では、そんな育休の延長後の退職についてまとめました。
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育休の延長後に退職とならないために法律が改正
29年10月1日から、育児・介護休業法が変わりました。
改正内容は下記の通りです。
- 1歳6か月以後も、保育園に入れない等の場合には、会社に申し出ることによって、育児休業期間を最長2歳まで再延長が可能となりました。育児休業給付金の給付期間も最長2歳前までとなります。
- 事業主は、子供が産まれる予定の方等に、個別に育児休業等に関する制度を知らせます。
- 未就学児を育てながら働く方が、育児に関する目的で利用できる休暇制度の導入を促進します。
これらは、保育園などに入所できず退職を余儀なくされる事態を防ぐため、また、育休などを取りやすい職場の環境づくりを進めるためといった目的で導入されたものの、なかなか現実的には難しいようです。
育休の延長後の退職についてのいくつかの問題点を取り上げて、考えていきたいと思います。
育休延長後退職させられました
育児休業中に保育園が決まらず、延長を申し出た時、または延長後に退職させられてしまったというママは、意外と多いんです。
その背景として、育児休業を取っている方のポジションが1人だけという職場の場合、代替要員を雇うことが多いと思います。
その代替要員の契約が最初に申し出た職場復帰までの期間という場合、会社としては育児休業を延長されると困ってしまうというのが実際問題あると思います。
今回の法改正も国が決めていることですが、「一人のお休みに対して穴埋めが可能な大所帯の会社」という設定で決めているのではないかという感じがします。
実際、私も経理事務を担当していましたが、ポジションは私のみでしたので、もし何か月ものお休みをいただいたらどうなっていたのかなと思います。
別の部署で、先輩が産休・育休を取っていた時には、派遣会社から派遣の方をお願いしていましたが、それでもそこの部署の上司の方は大変そうでした。
先輩は、予定通りに保育園も決まり復帰したので、大変だった期間もあっという間だったとは思いますが、もしこれが延長となっていたらどうなっていたのかなとは思います。
もちろん、会社としては何とかしなければならないのですが、会社側の事情も分からなくもありません。
もし、経済的な事情でどうしても退職できない場合等は、無認可に預けることも考えてみてはどうでしょうか。
赤字になる期間もあるとは思いますが、長い目で見て、ここで退職してしまうか、勤め続けるかを考えてみてもよいのではないかと思います。
育児休業給付金をもらった後でも、退職となった場合は、失業保険が支給されます。
その場合、「会社都合退職」としてもらえると、給付の開始が自己都合退職よりも約3か月早く支給されます。
実際、会社の都合で退職となるわけですから、会社の方に交渉の余地はあるかと思います。
失業保険についての記事もありますので、参考になさって下さい。
⇒ 育休後に退職した場合の失業保険はどうなる?押さえておきたい受給のポイント
育休延長後、保育園に入れなかった場合退職ですか?
育休を延長したのに、また保育園に入園できなかったという場合もあるでしょう。
今回の法改正は、このような事態になることを避けるためのものともいえます。
といいますのは、以前ですと、例えば育児休業が終わる1歳になる前の4月入園の保育園の募集に落ちた場合、延長が終了する1歳6か月時点では、ほとんどの保育園では空きがないため、子供を預けることができませんでした。
そうなると、延長しても必然的に退職となってしまうケースが多くありました。
しかし、今回の法改正では、1歳6か月以降も保育園に入れない等の場合には、会社に申し出ることによって、最長2歳に達する日まで育児休業の再延長ができるようになりました。
それによって、1歳6か月を過ぎても、2歳までに保育園に預けることができれば、職場復帰できる可能性が出てきたのです。
あとは、会社との話し合いだと思います。
もし、会社の方から退職を促された場合は、前述した通り、無認可保育園を探して少しの間そこで乗り切るか、退職かになってしまうと思います。
育児休業の延長を理由に辞めさせることは違法となりますので、退職させられた場合は、失業保険をすぐもらえるように、会社都合の退職にしてもらいましょう。
もし自己都合退職だとしても、ハローワークで手続きする際に事情を話してみるとよいと思います。
また、経済的に仕事を辞めたくない、すぐにでも転職先を探さなければならないといった場合、ギリギリまで育児休業給付金をもらうのも一つの手かなあとも思います。
ただし、その場合、会社とよく相談する必要があります。
今までの収入がなくなってしまうわけですから、ご家族や会社側と相談されてよく考えてみて下さいね。
育休の延長後に妊娠したが退職せずに引き続き育休は取れるか?
育休を延長して妊娠したら、育休をそのまま延長できるのか、それとも退職になってしまうのか、不安になってしまいますよね。
妊娠を理由に育休をそのまま延長したいとなると、会社の規定や事業主の考え方しだいということになってしまいます。
会社側とよく話をされてみて下さい。
その場合、次の3つの選択が考えられます。
- そのまま育児休業が延長になり、次の子供の産休・育休を続けて取る。
- 延長はせずに産前休業まで職場復帰する。
- 延長せずに退職。
これら等のことを視野に入れて考慮されてみてはどうでしょうか。
育休中の妊娠についての詳しい記事はこちら
⇒ 育休中に妊娠!?妊娠を理由に育休や給付金を延長することはできますか?
育児休業が2歳まで延長可能となっても、「うちの会社には関係ないわ!」「2年もお休みするなんて仕事的にムリ!」と、嘆いているママもいらっしゃるのではないでしょうか。
育児休業法が改正されたと言っても、その法律通りに実行できる企業って、もしかしたらわずかなのかもしれません。
ひと昔前よりも、スマホやゲーム機などのデジタル機器の普及や教育費などが、家計の支出を占める割合をずいぶんと大きくしているように感じられます。
もちろん女性の社会進出は必要なことですし、そうありたいと望む女性もたくさんいらっしゃいます。
しかし、現実、中にはやっていけないから共働きせざるを得ないという複雑な思いで働いているママもいらっしゃるように思います。
共働きをしたいけど、今までの職場は退職、自分が希望する所ではないけど転職して働かなければならない…
その結果、女性だけが負担を負い生きづらさを抱えてしまうという事態になりかねません。
国が推し進めている女性の社会進出と少しずれているのではないかと感じているのは私だけでしょうか。
本当の意味での女性が社会進出できる世の中になってほしいと心から願うばかりです。