痒みとの戦い、アレルギー対策、情報収集、通院と、アトピーのお子さんがいるママは、毎日気を抜くこともできず、育児に疲れてしまっていることとお察しします。
今回は、そんなママのイライラやストレスを少しでも解消できるよう、アトピーのことについてお伝えしていきたいと思います。
スポンサーリンク
育児の疲れに追い打ちをかけるアトピー
ただでさえ、育児は赤ちゃんのお世話で、睡眠不足、進まない家事、自分のことは後回しになってしまうなど、細かいストレスが積み重なってしまいます。
それに加えて、アトピーのお子さんを持つママさんたちは、子供が痒がって夜は眠れない、アレルゲンの除去、通院や情報収集と、しなければならないことが増えてしまいますよね。
アトピーのお子さんは、痒さから皮膚を掻き毟ってしまい、ますます悪化させてしまって、どうしても悪循環になってしまがちです。
また、治ったと安心したところに繰り返し発症してしまうのも、アトピー性皮膚炎の厄介なところですよね。
そして何より、子供がアトピーだということに対する心配と不安とで、ママのストレスはかなりのものだと考えられます。
また、治療についても、「ステロイド」の副作用についての怖い情報が錯綜していて、使ってよいものなのか、何を信じてよいのかわからなくなっています。
私もこの記事を書くにあたり、いろいろ調べてみましたが、アトピーを根本から治すことのできる特効薬というものが、今のところないからなのだと思います。
育児疲れにならないためにアトピーについて知っておこう
子供がアトピーだったり、自分や夫がアトピーだったりする場合、本人も周りにいる人たちも、どうしてもアトピーに振り回されてしまいます。
なるべくそうならないためにも、まず、アトピーのことについて知っておく必要があります。
アトピーの症状
「アトピー」とは、「奇妙な」という意味です。
まったくその通りで、原因や治療が解明されていないので、アトピーに関する情報はどれもあやふやという印象を受けます。
まさに「謎多き病」ですよね。
アトピー性皮膚炎で、最も厄介なのが「かゆみ」です。
皮膚がかゆいからかく→かきむしり血が出る→炎症が悪化して拡大する→さらにかゆいからかく→さらにかきむしる→さらに悪化→
この悪循環が「アトピー性皮膚炎」なんです。
「首」「ひじの内側」「膝の裏側」の三カ所が赤くてかゆい場合は、アトピー性皮膚炎の可能性が高いです。
しかし、季節やその時によって症状が変わるので、「小児湿疹」と診断されることもあります。
診断が難しい病気でもあるので、大事なのは、診断に一喜一憂しないことです。
アレルギー検査
アレルギーの検査をして、アトピー性皮膚炎の原因がわかるかというと、実は、そうではないんです。
しかし、アレルギー検査で、症状がひどくなる「悪化因子」が見つかり、対策を立てたことで、よくなったということもありますので、まったく意味がないわけではありません。
また、食物アレルギーなどが見つかった場合には、早急に小児科の専門の先生に相談されたほうがよいです。
アトピー性皮膚炎の原因
では、アトピー性皮膚炎の根本的な原因って何でしょう。
アトピー性皮膚炎の原因として考えられるのは、「食べ物」「ハウスダスト」「ストレス」「食品添加物」「生活習慣」などともいわれていますが、ほとんどのアトピー性皮膚炎の患者さんに共通しているのは、「乾燥肌の体質」です。
ですので、アトピー性皮膚炎の根本的な原因は、「乾燥肌の体質」といえるでしょう。
アトピー性皮膚炎の治療法
アトピー性皮膚炎の根本的な原因が、「乾燥肌の体質」ということから、治療法は、軟膏や保湿クリームを塗って、皮膚の潤いを保つことが重要です。
基本的に、まず患部には強い薬を使ってきれいにします。
そして、きれいになったら、保湿剤などで予防をします。
ここで注意しなければならないのは、ゴールが2つあるということです。
1つ目のゴールは、とりあえず患部をきれいに治すこと、もう1つのゴールは、皮膚のきれいな状態をキープするために、通院したり保湿剤を塗ったりしてケアを続けて、完全に治すことです。
特に、2つ目のゴールにたどり着くまでは、「治った」「再発した」を繰り返して、ひどくなる波の間隔がだんだんと空いてきて、完治に至ります。
いつ2つ目のゴールまでたどり着くのかは、個人差があります。
アトピー性皮膚炎の治療は、1つ目のゴールは「薬」で、2つ目のゴールは「自然治癒力」でが基本です。
焦らず気長にやっていきましょう。
ステロイドについて
アトピーというと、すぐに思い浮かぶのがステロイドですよね。
ステロイドに対して、「怖い」「副作用」などの不安って、少なからずあると思うんです。
しかし、ステロイドは、きちんと用法を守って、使い方を間違わなければ便利な薬です。
そもそも、「ステロイド」って何でしょう。
「ステロイド」とは、腎臓の上にある副腎から作られる「副腎皮質ホルモン」の1つで、薬として使用することによって、身体の炎症を抑えたり、ストレスや免疫を抑えたりする作用があります。
ですので、さまざまな病気の治療に使われていて、大きな効果も発揮するんです。
薬剤としての素晴らしい効果がありますが、その反面、副作用もあるということになってしまいます。
アトピー性皮膚炎で処方されるのが「ステロイド外用剤」で、炎症を抑える強さによって5段階に分類されています。
外用剤は、内服薬や点滴とは違い、全身に作用する効果もありませんし、副作用もありません。
ただし、外用剤ならではの「局所的副作用」がありますが、ほとんどは一過性のもので、正しい治療をすれば大丈夫なんです。
「なるべく使用期間は短く」「ステロイド剤のランクの選択」が、皮膚科医の腕の見せどころとも言えます。
また、患者側も、先生の指示を守る必要があります。
生活習慣を見直す
基本的なことですが、食事や睡眠、運動、またストレスを溜め込まないなど、生活習慣を見直すことも大切なことだと思います。
甘いものの摂りすぎにも注意です。
夏場は、朝と夜にシャワーで汗を流して、お肌を清潔に保つことも試してみてはどうでしょうか。
アトピーが育児疲れにならないようにするための心の持ち方
アトピー性皮膚炎を根本的に解決するという治療法や薬は、残念ながら、今のところありません。
前章でお伝えした治療法を、気長にやっていくしかないんです。
そのため、どうしても治療のスパンが長くなってしまうことを、親御さんも覚悟しなければなりません。
そんなパパやママが、アトピーの子供さんとどう接してたらよいのかを考えていきたいと思います。
薬を塗るのは親子の大切なスキンシップ
アトピーのお子さんとの接し方について、こう切り替えて考えてみてはどうでしょうか。
- 軟膏を毎日塗ってあげることで、親子のスキンシップができてお互いに癒される。
- さすってあげることで、幸福感が得られ、子供の脳によい影響が起きる。
毎日毎日、面倒だなあと感じる時もあるかもしれません。
でも、塗ってあげる時は、「強く育ってね」「優しい子に育ってね」「かゆくても頑張ってるね」などと、愛情を込めてやってあげて下さいね。
すぐに、結果には結びつかないかもしれませんが、そうやって育った子供は、愛情深くなるんですよ。
子供の辛さを受け止める
「かいちゃダメ!」と怒鳴ったりするのは、本人にとっては酷なことではないでしょうか。
とはわかっていても、ついイライラして思わず言ってしまうこともあるかもしれません。
それはそれで、仕方のないことです、ママだって人間ですから。
子供が「かゆい」と言ったら、ママは「そう、かゆいね」
「血が出てきた」と子供が言ったら、ママは「血が出てきちゃたね」
「キモイって言われた」と子供が言ったら、ママは「そう、キモイって言われたんだ、嫌だったね」と、子供の辛さを受け止めてあげてほしいと思います。
子供は、自分の辛さをママに受け止めてもらうと、安心します。
でも、子供は自分のせいで、ママが傷ついていると思うと、苦しみます。
ママは、自分が苦しむのではなく、お子さんを支えてあげてましょう。
子供は、何事にも動じない親の姿を見て、安心して訴えられるのです。
それぞれの役割と課題をハッキリ分ける
親と子の線引きを意識することも大切なことです。
どういうことかと言いますと、アトピーで苦しんでいる我が子を側で見ていると、親もとても辛くなってしまいますよね。
しかし、アトピーになったのは、誰のせいでもありませんし、一番大事なことは、それぞれに何をしなければならないかを考えることなのではないでしょうか。
- アトピーと向き合うのは子供本人
- アトピーを治すのはお医者さんと自己治癒力
- アトピーの子供を支えるのは親
これらの、それぞれの役割分担をはき違えると、抱えなくてもよいストレスを抱えてしまうことになってしまうんです。
「ママのせいでごめんなさい」と自分を責めたり、「あなたのせいでママは大変なの」と逆に子供を責めたりするのは、ちょっと違うと思います。
アトピーと向き合うのは子供の課題、そして、その子供を支えるのが親の課題だと思うんです。
アトピーも含め、病気は人を強く成長させる糧となります。
病気に向き合って、強く生きようとしているお子さんを、しっかりと抱きしめて支えてあげて下さい。
また、ママもたまには子供を預けたりなどして、息抜きすることも大切ですよ。
ママが、笑顔でいることが一番ですから。
親子間の線引きをして、役割分担や課題を分けて考えることは、アトピーに対しての向き合い方だけでなく、子育ての上でもとても重要なことだと思います。
医療は、すさまじいスピードで、日々進歩しています。
子供たちが苦しむことのないよう、1日でも早く、アトピー性皮膚炎の特効薬が開発されることを願うばかりです。
アトピーについて、専門医によって詳しく書かれた書籍です。ぜひ参考になさって下さい。