法律が改正されたことにより、「パパママ育休プラス」という新しい制度ができました。
また、専業主婦(夫)の配偶者でも、必要に応じて育児休業を取得できるようにもなりました。
パパが育児に参加しやすい時代になりつつあるのですね。
そこで今回の記事では、専業主婦の場合のパパの育児休業についてお伝えしていきたいと思います。
法律改正【専業主婦の配偶者の育児休業とパパママ育休プラス制度】の背景とは
ひと昔前までは、育児はママがするもの、また、育児休業は働くママのための制度というイメージが強かったですよね。
2010年6月の育児・介護休業法の改正によって、近年では、子育て中の働き方や、パパの育児休業の取得の仕方に見直しがされるようになり、パパが育児に関わりやすい時代になってきました。
しかし、実際のパパの育児休業の取得率は、2%に満たないそうです。
男性が子育てや家事に費やす時間も、先進国の中でも最低の水準といわれています。
今の現状としては、女性は仕事と子育ての両立が難しく、どうしても育児休業を経てからの職場復帰後の働き方に問題が出てきてしまっています。
また、男性が子育てや家事にあまり関わっていないことが多いため、子育てや家事の負担が女性だけに掛かりすぎていることが、女性の働きにくさや少子化の原因にもなっていると考えられます。
この改正をきっかけに、女性だけでなく男性も子育てや家事ができる環境づくりができるといいのですが。
改正の内容の中に、配偶者が専業主婦(夫)であっても育児休業を取得できる制度やパパママ育休プラス制度があります。
しかし、残念なことに、どちらもあまり知られていません。
たとえ知っていたとしても、職場への遠慮だったり、職場の理解がなかったり、男性の育児休業そのものに関心がなかったりと、パパが育児休業を取るのは、まだまだ難しいといえるかもしれませんね。
また、以前の記事でも紹介しましたが、経済的な理由や男性の家事・育児に対する意識の問題で、ママ自身がパパの育児休業に難色を示していることも、パパの育児休業の取得率が低い理由なのかなとも思います。
⇒ パパママ育休プラス制度を簡単に解説!概要、メリット、デメリットとは
子供が小さいうちは、家事・育児はママにとってはかなりの負担です。
やはり、パパに協力してもらうことは不可欠といえるでしょう。
急に意識を変えることは難しいかもしれませんが、子供のためにも、パパもママも、家事・育児に対する今までの意識を変えることが必要なのかもしれませんね。
法律改正による専業主婦(夫)の配偶者の育児休業
前述しましたが、法律の改正で、ママが専業主婦でもパパが育児休業を取得できるようになり、また、パパママ育休プラス制度ができました。
その他にも、3歳未満の子供を養育する労働者は、1日6時間の短時間勤務制度を受けることができ、残業も免除されます。
また、小学生就学前の子供の看護休暇を1人の場合は年5日、2人以上の場合は年10日取れることになりました。
法律改正の中でも、ここでは専業主婦(夫)の配偶者の育児休業に、スポットを当ててお話ししていきたいと思います。
法律が改正される前は、配偶者が専業主婦の場合、会社では育児休業の取得を不可とすることができる制度がありました。
ママが専業主婦の場合、パパが育児休業を取りたいと希望していたとしても、勤め先がダメと言えば、パパは育児休業を取ることができなかったんですね。
しかし、この改正によって、その制度を廃止することになったんです。
それまでの会社の規定などによって、専業主婦の夫などを育児休業の対象外にできるという法律を廃止して、すべての父親が必要に応じて育児休業を取得できるようになりました。
また、内縁の妻であっても対象となります。
近年は、核家族や晩婚化が多くなっていることからも、両親に頼ることができないパパやママがけっこういるのではないかと考えられます。
産後で動けない時期に、パパにサポートしてもらえることで、ママの身体の負担が軽減できます。
専業主婦であってもパパが育児休業を取れるということは、ママにとって、とても心強いのではないでしょうか。
専業主婦(夫)の配偶者の育児休業と給付金
では、ママが専業主婦の場合に、パパが取得できる育児休業の概要について、みていきたいと思います。
ちなみに、パパが専業主夫の場合もママが育児休業を取得できます。
要件
育児休業を取得できるのは、1歳に満たない子供(実子、養子を問わず)を療育するパパ(日雇い労働者を除く)です。
期間雇用者については、同一の事業主に引き続き1年以上雇用されていて、子供が1歳6か月になる前日までに労働契約が満了しないことが条件に挙げられます。
継続して雇用されている期間が1年に満たない等、労使協定(労働者の代表と使用者の間で結ぶ協定)で育児休業を取得できないと定められた労働者について、事業主は育児休業の申し出を拒むことができます。
期間
育児休業を取得できる期間は、子供の出生日から1歳に達する日(誕生日の前日)までの間で、パパが申し出た期間です。
男性は産後休業がないので、ママの産後休業の間は、パパは育児休業としてお休みすることができます。
また、パパがママの産後休業中に育児休業を取った場合は、特別な事情がなくても再度育児休業を取得できます。
給付金と社会保険料について
育児休業給付金や社会保険料についても気になるところですよね。
もちろん、ママが専業主婦であっても、パパが育児休業を取って要件を満たしていれば、パパは、育児休業給付金をもらうことができますし、社会保険料も免除となります。
パパの育児休業給付金の支給の対象となる期間は、ママの出産日当日から子供が1歳に達する前(子供の1歳の誕生日の前々日)までの、育児休業を取っている期間です。
また、育児休業給付金の受給資格は次の通りです。
- 雇用保険に加入していること。
- 被保険者が1歳未満の子供を養育するために、育児休業を取得する場合。
- 育児休業開始前の2年間(事由により、最大4年間まで)で、賃金支払基礎日数(賃金の支払いの基礎となった日数)が11日以上ある月が、12ヶ月以上ある人。
- 育児休業開始の時点で育児休業終了後に離職する予定がない。
- 育児休業期間中の賃金が、育児休業前の1か月あたりの8割以上とならないこと。
- 各支給単位期間(育休を1か月ごとに区切った期間)に、働いた日が10日以下、10日を超えた場合は働いた時間が80時間以下であること。最終支給単位期間に関しては、加えて1日以上の休日があること。
期間雇用者の場合は、上記の受給資格の他に次のような追加条件があります。
- 育児休業開始の時点で、同一事業主(同じ会社)の下で、1年以上雇用が継続している。(派遣の場合は、派遣先が違っても、派遣元が同じであればOK)
- 子供が1歳6ヶ月までの間に、その労働契約が満了する予定がないこと。
その他
育児休業を開始する日の1か月前までに、事情主に申し出ることが必要です。
事業主は、要件を満たした労働者の育児休業の申し出を拒むことや、不利益な扱いをしてはいけません。
父親の育児休業の取得を促進するために、育児・介護休業法が改正されました。
しかし、パパママ育休プラス制度や、専業主婦の場合でもパパは育児休業を取れるということが、残念ながら周知されていません。
たとえ知っていたとしても、職場や仕事の都合、経済的な理由、夫婦間の意識の相違から、なかなか「育児休業を取りたい」「育児休業を取ってほしい」と言い出すまでにも至っていないのが、現状なのではないかと思います。
パパが、育児休業を取ることができるのはごく一部。
「専業主婦なのに育児休業??」
「経営者や上司、同僚にとって育児休業って迷惑じゃない?」
確かに会社にとっては迷惑なことかもしれないし、昔のママたちは一人で子育ても家事も担うことができたのかもしれません。
でも、実のところ、パパのサポートなしでは、子育ては大変なんです。
親などからのサポートがなくて、たった一人で子育てをしていたママさんたちは、きっと大変な思いをしていたと思います。
また、ある統計によると、(すべてが当てはまるわけではないと思いますが)父親が子育てに参加しないで育った子供は、配偶者を選ぶのが上手ではないのだとか。
育児休業を長期で取らなくてもいいから、1日~2日でもお休みを取って、ママの身体を労わってあげてほしいと思います。
お休みが取れない場合は、なるべく早く帰宅したり、休日の日は、ママをサポートしてあげて下さいね。
上司の方も、せめてママの大変な時だけでも、子供のために、パパの仕事をフォローしてあげることはできないでしょうか。
周りが協力することで、ママがなるべく子供に余裕を持って接することができると良いですよね。
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