1歳未満の子供を養育するために、育児休業を取得すると、雇用保険から育休手当が支給されますが、アルバイトの場合でも、育休手当は支給されるのでしょうか?
また、育休手当を受け取りながら、アルバイトをすることはできるのでしょうか?
育休手当のアルバイトにまつわる疑問を解決していきます。
アルバイトでも育休手当は支給されるの?
育休手当(育児休業給付金)は、正社員でないと支給されないのでは…というイメージがありますよね。
しかし、条件を満たせば、アルバイト、パート、派遣社員、契約社員でも、育児休業給付金が支給されます。
ただし、期間雇用者(期間を定めて雇われている人)の場合、正社員とはまた別の条件があります。
まずは、一般的な育児休業給付金の受給資格を見ていきます。
- 雇用保険に加入していること。
- 1歳(一定の要件の場合1歳2か月、または1歳6か月、2歳)未満の子供を養育するために、育児休業を取得する場合。
- 育児休業開始前の2年間(事由により、最大4年間まで)で、賃金支払基礎日数(賃金の支払いの基礎となった日数)が11日以上ある月が、12ヶ月以上ある人。
- 育児休業を開始する時点で、育児休業終了後に離職の予定がない。
- 育児休業期間中の賃金が、1か月あたり育児休業前の8割以上とならないこと。
- 各支給単位期間(育休を1か月ごとに区切った期間)に、働いた日が10日以下、10日を超えた場合は働いた時間が80時間以下であること。最終支給単位期間に関しては、加えて1日以上の休日があること。
アルバイトなど期間雇用者の場合は、上記の受給資格の他に次のような追加条件があります。
- 育休開始の時点で、同一事業主(同じ会社)の下で、1年以上雇用が継続している。(派遣の場合は、派遣先が違っても、派遣元が同じであればOK)
- 子供が1歳6ヶ月までの間に、その労働契約が満了する予定がないこと。
これらの条件をクリアすれば、アルバイトやパート、派遣社員、契約社員でも、育児休業給付金が支給される可能性があります。
「もしかして受給できるかも!」と思ったら、ぜひ、会社の担当者に相談してみて下さいね。
育休手当を受給しながらアルバイトはできるの?
育児休業中に、いくら育児休業給付金が支給されるといっても、通常のお給料よりは少なくなってしまいます。
また、育児休業給付金が支給されるのは、育児休業に入って早くても3~4か月以上先であり、すぐに入金されません。
⇒ 育休手当の給付が遅い!これだけは知っておきたい支給申請手続きのこと
支給されたとしても、最初の6か月分は休業開始時賃金月額の67%、それ以降は50%です。(実際に振り込まれるのは、2カ月分を2か月ごと。)
育児休業中は、社会保険料が免除になり、所得税も引かれませんが、それでも通常のお給料の7~8割、半年以降になると、さらに減額されてしまいます。
こういった現状から、育児休業中に、少しでも働きたいと思うママもいらっしゃるのではないでしょうか。
実は、育児休業中で給付金を支給されていたとしても、働いていいんです。
但し、賃金の額によっては、給付金を減額されたり、もらえなくなったりしてしまいますので、注意が必要です。
職場からヘルプの要請がきた時などは、ブランクを埋めるために、または職場復帰に慣れるために、少しずつ働くのもいいかもしれませんね。
勤務先とは別の所でアルバイトをする場合は、あとでトラブルにならないためにも、会社で副業が禁止されていないかを確認する必要がありまし、会社とハローワークに相談することをお勧めします。
アルバイトをした場合の育休手当の給付額は?
育児休業給付金は、各支給単位期間に、働いた日が10日以下、10日を超えた場合は働いた時間が80時間以下であれば支給されます。
しかし、ある一定額以上の賃金をもらうと減額され、さらに一定額を超えると支給されなくなります。
(支給単位期間とは、育児休業給付金を支給する都合上、育児休業を1か月ごとに区切った期間のことです。)
【各支給単位期間における支給額】
賃金月額(休業開始時賃金日額×支給日数)✖67%(6か月経過後は50%) |
(休業開始時賃金日額とは、育児休業開始前の6か月間の賃金を180で割った額です。)
(支給日数とは支給単位期間の日数、休業最終日の属する残りの支給単位期間はその日数。)
【給料が支払われた場合の給付金の支給額】()は育児休業開始から6か月経過後
給料 | 給付金 | |
賃金月額の | 13%(30%)以下⇒ | 賃金月額の67%(50%)を支給 |
13%(30%)を超えて80%未満⇒ | 賃金月額の80%と賃金の差額を支給 | |
80%以上⇒ | 支給されません |
※賃金月額は、447,300円を超える場合は、447,300円となり、74,100円を下回る場合は74,100円となります。
それに伴い、各支給単位期間ごとの支給額の上限額は、299,691円(223,650円)となります。
〈上記の金額は平成30年7月31日まで。毎年8月1日に変更〉
それでは、具体例を挙げて見てみましょう。
【賃金月額が20万円の場合の給付金と賃金の関係】
支給単位期間中に、賃金月額の67%(50%)の給付金と育児休業中の賃金を合わせて、賃金月額の80%までは、給付金は減額されません。
賃金が13%(30%)を超えると、給付金が減っていく仕組みになっています。
給付金と賃金の合計金額は20万の80%で、入ってくる金額は変わりませんが、賃金をもらえばもらうほど、給付金は減っていきます。
80%以上の16万になると、給付金は支給されなくなります。
また、労働時間が80時間を超えても支給されません。
要するに、育児休業中でも1日4時間、月20時間働いて、他の条件を満たしていれば、給付金が支給されるということになります。
本来、育児休業中は、子供とゆっくり過ごしたいものですが、生活が苦しかったり、育児休業を取りづらかったり、事情によっては、このような制度を利用するのもアリだと思います。
また、企業にとっても、仕事の内容を熟知している社員に、少しでも働いてもらえば助かるのではないでしょうか。
せっかくの制度ですので、お互いに、上手に利用するのも良いかもしれませんね。