出産後もずっと同じ職場で働き続けたいと思っていても、転職を余儀なくされることがあるかもしれません。
転職した場合、気になるのは育休手当のこと。
今回は、転職と育休手当の関係について、取り上げてみたいと思います。
転職した場合の育休手当の受給資格
共働きが増えてきた今の時代ですが、出産を機に転職せざるを得ないことって少なくないのかもしれません。
転職をしてまもなく2人目を妊娠という場合など、転職後の育休手当(育児休業給付金)はどうなってしまうか気になるママも多いはず。
それはそうですよね、無収入の期間、お給料の65%もしくは50%支給されたら、だいぶ助かりますから…
それでは、まず初めに、育児休業給付金の受給資格を確認していきます。
- 雇用保険に加入していること。
- 1歳(1歳2か月、または1歳6か月、2歳未満の場合もあり)未満の子供を養育するために、育児休業を取得する場合。
- 育児休業開始前の2年間(事由により、最大4年間まで)で、賃金支払基礎日数が11日以上ある月が、12ヶ月以上ある人。
- 育休を開始する時点で、育休終了後に離職することが予定されている場合は、支給の対象とはなりません。
- 育休期間中の賃金が、1か月あたり、育休開始前の8割以上支払われていないこと。
- 各支給単位期間に、就業した日が、10日(10日を超えた場合は就業時間が80時間)以下であること。
- 最終支給単位期間に、就業した日が、10日(10日を超えた場合は就業時間が80時間)以下であるとともに、休業日が1日以上あること。
期間雇用者の場合は、上記の受給資格の他に次のような追加条件があります。
- 育児休業開始の時点で、同一事業主の下で、1年以上雇用が継続している。(派遣の場合は、派遣先が違っても、派遣元が同じであればOK)
- 子供が1歳6ヶ月までの間に、その労働契約が満了する予定がないこと。
転職した場合、上記の要件を満たしていれば、前職の雇用保険加入期間と通算できる可能性があります。
転職後、育休手当の給付を受けるための「通算できる要件」とは?
では、前職の雇用保険加入期間と通算するとはどういうことなのでしょうか。
ハローワークのリーフレットには、育児休業給付支給条件の賃金支払基礎日数について「過去に基本手当(失業保険)の受給資格の決定を受けたことのある方については、基本手当の受給資格決定を受けた後のものに限ります。」とあります。
つまり、前職を退職した際に、基本手当(失業保険)の受給手続きをして再就職した場合は、前職の雇用保険加入期間はリセットされ、足すことはできません。
そのため、再就職した日から、新たに雇用保険加入期間を数え直すことになります。
例えば、前職を退職した後に、失業給付をもらって1年以内に転職したとします。
もし、転職してから1年以内に育休を取ることになった場合、前職の雇用保険加入期間と通算することができず、前職の賃金支払基礎日数と合計できないため、育児休業給付金の受給資格を満たすことができません。
逆に、失業保険の手続きをせずに、転職してから1年以内に育休を取ることになった場合は、前職と転職先の雇用保険加入期間を通算できて、前章の要件を満たしていれば育児休業給付金がもらえる可能性があります。
通算できるとは、退職した日の翌日から再就職した日の前日の間の、離職していた期間が1年以内であること、転職するまでの間に失業給付の受給資格の決定を受けていないことです。
前職との雇用保険加入期間を通算するためには、「離職票」が必要となります。
育児休業給付金を受給できるかどうか不安な場合は、ハローワークに前職の離職票を持参して、相談することをおススメします。
転職すると育休手当を返還しなければならない?
育児休業給付金をもらっていて、退職したり、転職したりすると、今までもらっていた給付金を返さなければならないか不安に思ってしまいますよね。
転職しても、今まで支給された育児休業給付金は、返還する必要はありません。
ですので、転職しないのが一番ですが、どうしても転職せざるを得ない事情があったとしても、もらった育児休業給付金は返さなくてもいいので安心してください。
出産後、会社都合で転職する場合の育休手当は?
現在勤めている会社で、産休・育休を取ってずっと働きたいと思っていても、会社側で受け入れてくれず出産を機に退職、家計が大変で再就職…なんていうこともありますよね。
女性の社会進出にともない共働きが増えているのにもかかわらず、なかなか産休・育休を認めてくれない会社は少なくありません。
ただ会社側でも、ギリギリの人数で採算を取っているところが多いため、仕方がないというのが実情なのでしょう。
しかし、こういうご時世なので、派遣社員で穴埋めするなど、会社の方でも工夫してほしいという気持ちもありますが、なかなか難しいのかもしれませんね。
実は、雇用する側は産休・育休を取得させる義務があり、出産を理由に解雇することは、禁止されているんです。
実際に、「労働基準監督署」に訴えて、育児休業を取得したという例もあります。
しかしそうはいっても、無理に育児休業を取って、復帰後、子供の病気などでお休みしたい時に、理解してもらえないと、働きづらくなってしまうこともあります。
本来ならば、離職した場合は育児休業給付金も支給されなくなってしまいます。
しかし、会社側の都合で転職しなければならない場合は、籍だけおいてもらって、育児休業給付金をもらえるように交渉してみてはどうでしょうか。
求職活動をしている間、無収入にならずに済みます。
申請手続きの手間は多少かかりますが、育児休業給付金は雇用保険から支給されますし、その間の社会保険料は免除となりますので、金銭的な面では会社に迷惑が掛かるわけではないと思います。
育児休業給付金は、離職した場合、支給の対象にはなりませんが、「働き続ける人をサポートするための給付金」です。
働き続ける意志があるのにもかかわらず、会社側から一方的に退職してほしいというのは納得がいかない部分もあります。
会社の事情もわからないこともないのですが、もし経済的な理由で仕事を続けたいのであれば、職を失うことはこれからの生活に支障をきたします。
これらのことから、会社の都合で離職することになっても育児休業給付金が受給できる可能性があるということを、このサイトで伝えていければと思い、あえて記事に載せました。
また、育児休業として育児休業給付金をもらい続けるか、退職となって失業保険の手続きをするかは、よく考えてから判断してほしいと思います。
前述しましたが、失業給付の受給資格の決定を受けてしまうと、二人目を出産するタイミングによっては、前職の雇用保険加入期間と通算することができなくなり、結果、育児休業給付金がもらえないことがあります。
よく考えてから、手続きをして下さいね。
転職して、特に最初の何日間は、気疲れや新しいことを一から覚えることなどで、独身者でも相当疲れて家に帰ってきます。
仕事から帰ってきて、家事や手の掛かる赤ちゃんのお世話をしなければならないのは、どんなに大変なことだろうかと想像します。
ママの負担が少なくなるように、できれば慣れた仕事を続けることができればいいのですが。
そのためには、ほとんどの企業で、産休・育休が定着できるように態勢が整えられればいいなと思います。
同時に、待機児童の問題も解決されるといいですよね。
企業側にとっても、忙し過ぎるママたちにとっても、良い方向へ進んでいってほしいと思います。