いよいよ離乳食が始まり、我が子の成長に喜びを感じているパパやママもいらっしゃるのではないでしょうか。
しかし、それと同時に、アレルギーの不安も…
アレルギーに関しての様々な情報が錯綜する中、何が正しい予防法なのか、迷ってしまいますね。
今回は、離乳食によるアレルギーを予防するポイントについてまとめました。
アレルギー予防となる離乳食開始時期は?
離乳食は、母乳やミルクしか飲むことができなかった赤ちゃんが、初めて食べ物を口にする節目ともいえます。
パパとママは、我が子の成長を感じ、喜びもひとしおですね。
しかし、離乳食で、アレルギーを起こしたらどうしようと、心配になってしまうパパやママも多くいらっしゃると思うんです。
2019年3月に、厚生労働省の「授乳・離乳の支援ガイド」の内容が改訂され、公表されました。
厚生労働省の「授乳・離乳の支援ガイド」とは、授乳や離乳について、自治体や産院などが情報を共有するために、また、一貫した指導を行うために、専門家が集まって検討しながら指針を決める、いわゆるガイドラインです。
まず、その中から、アレルギーと離乳食に関する部分で、改訂された内容を簡単に説明します。
アレルギーについて
食物アレルギーの発症リスクとして、遺伝、皮膚のバリア機能の低下、特定の食物の摂取開始時期の遅れが考えられます。
母乳について
子どものアレルギー予防に、ママの食事は特定の食品を極端に避けたり、過剰に摂取する必要はありません。
あくまでも、バランスのよい食事が重要です。
乳児のアレルギーが疑われた場合には、必ず医師の診断に基づいて母子の食事制限などを行います。
また、今回の改訂版では、母乳育児の効果について、乳児の消化器感染症の減少はみられるものの、母乳によるアレルギー疾患の予防効果はないと明記されています。
離乳食開始の時期について
アレルギーを心配して、離乳食の開始や特定の食材の摂取時期を遅らせても、アレルギーの予防効果があるという科学的根拠はありません。
ですので、生後5~6か月頃を目安に、赤ちゃんの離乳食開始のサインが見られたら、離乳食を始めましょう。
また、卵アレルギーの予防に関しては、今までよりも早い離乳食初期である5~6か月頃から、加熱した卵黄を与えることが推奨されています。
母乳育児の場合は、生後6か月の時点で、鉄欠乏やビタミンD欠乏を起こしやすいことから、適切な時期に離乳食を開始して、鉄やビタミンDを含む食品を積極的に摂ることとあります。
さらに、子どものアレルギーが疑われる場合には、必ず医師の診断に基づいて食事制限を行う、ということが盛り込まれています。
(授乳について…19~20ページ)
(離乳について…30~35ページ)
離乳食開始の時期は、これらを参考に考えてみてはどうでしょうか。
肌のスキンケアが離乳食によるアレルギーを予防する
授乳や離乳食同様、子どもの食物アレルギーに関しても、日々、たくさんの研究がなされています。
近年になって、乳児湿疹やアトピー性皮膚炎が、食物アレルギーの原因になるという説が、有力視されているようなんです。
乳児湿疹やアトピー性皮膚炎になると、皮膚のバリア機能が崩れます。
そこから食べ物のアレルゲンが侵入して異物と認識され、そのあと、同じ食べ物を食べたときに、身体が異物だと判断してしまいます。
そうすると、身体の免疫機能が反応して、アレルギーが発症するということがわかってきたのです。
空気中に潜んでいたり、ママの手や身体や衣服についていたりする微量のアレルゲンが、バリア機能の弱っている赤ちゃんの皮膚から侵入すると考えられます。
その後、同じアレルゲンをもった食べ物を、離乳食で与えることで、アレルギー反応が起こってしまうんです。
このように、乳児湿疹やアトピー性皮膚炎のある赤ちゃんは、食物アレルギーになりやすいんですね。
最近では、赤ちゃんの乳児湿疹やアトピー性皮膚炎の適切なスキンケアをして、皮膚からのアレルゲンの侵入を防ぐことが、離乳食でのアレルギーを予防するいわれています。
ですので、赤ちゃんに湿疹があって、皮膚に炎症が起きている場合には、医師に相談して肌をきれいにしておくことが、離乳食によるアレルギーの予防につながるといえます。
離乳食によるアレルギーを予防するためには
離乳食によるアレルギーを予防するためのポイントをまとめました。
肌をきれいにする
スキンケアを徹底して、できる限り肌を健康な状態に保つようにしておきましょう。
自己判断で離乳食を遅らせない
赤ちゃんの皮膚が、生まれてからずっときれいな状態である場合は、厚生労働省の「授乳・離乳の支援ガイド」に基づいて離乳食を進めていきます。
それで万が一、アレルギーの症状が出てしまった場合は、医師に相談しましょう。
実は、ガイドライン通りに進めても、アレルギーの症状が出るかどうかは、離乳食を与えてみないとわからないのです。
もともと特定のアレルゲンを持っている赤ちゃんは、その食品でアレルギー反応が出てしまうケースが多いのです。
そのために、一つ一つの食材のアレルギー反応を確認しながら、段階を踏んで離乳食を与えます。
残念ながら、離乳食開始時期を遅らせたからといって、アレルギーを回避できるわけではないんですね。
むしろ、離乳食を遅らせることが、アレルギーにつながっているとの見解もあるようです。
また、離乳食が順調に進んでいくとも限りません。
身体の調子が悪くなったり、食べムラが出てきたリと、中断せざるを得ない時だってあります。
ですので、離乳食は、特別に医師から指導がなければ、遅らせずに、生後5~6か月頃からスタートさせた方が無難といえるでしょう。
すでに、赤ちゃんに乳児湿疹やアレルギーと診断されている、または疑いがある場合には、医師に相談されて、指示のもと離乳食を進めていきましょう。
必要以上に除去しない
昔は、食物アレルギーというと、離乳食から原因となる食べ物を除去することが常識とされていました。
しかし、最近の研究では、食物アレルギーの予防や治療方法としては、食べることが効果的であると、方向転換されたんです。
今は、赤ちゃんに食物アレルギーがあっても、原因となる食物を必要最小限除去したうえで、厚生労働省のガイドラインに沿って進めていくようです。
念のため、または心配だからというお気持ちもわからなくはありませんが、医師の指示以外で、必要以上に除去したり、食べる量を自分で判断したりすることは、絶対にやめましょう。
食べさせる量と時間帯
これは、離乳食を食べさせるうえで、基本中の基本ですね。
初めての食品は、必ず加熱したものを小さじ1から(卵は茹でたものを耳かき1さじから)与えて、その後も赤ちゃんの様子をチェックするようにしましょう。
万が一のために、赤ちゃんの調子が悪くなった場合、すぐに病院へ駈け込めるような時間帯に与えます。
今までダメといわれていたことが、または、今まで良いとされていたことが、真逆の見解になってしまうことは、たとえ厚生労働省の指針だとしても、戸惑ってしまいます。
このガイドラインの内容を見たとき、もし孫ができたら、余計なことは言えないなあとしみじみ感じました(笑)
卵黄を5か月で食べされるのって、正直、勇気が要りますよね。
しかし、今までの指導で何か問題があって、専門家がいろいろと検討した結果が、今の指導内容なのだと思うんです。
今までの離乳食の常識を覆すことは、なかなか難しいことかもしれませんが、徐々に浸透していって、アレルギーを発症する赤ちゃんが、少しでも減っていってほしいと思います。
今回の、ガイドライン改訂について、自治体や医療機関でも、まだ把握しきれていないところがあるかもしれません。
このような情報を知っていれば相談もしやすいですよね。
離乳食やアレルギー予防に関しては、ポイントをしっかり押さえて、あとはあまり細かいことは気にしすぎず、楽しみながら育児をしていってほしいなあと思います。
ガイドラインが改訂されたことによって、より一層、子どもを育てやすい環境になることを願っています。